top of page

Jaguar XK8 Convertible

1996 model. carnival red exterior / beige & oatmeal leather interior

2,980,000

走行距離:68,000km / 修復歴:なし / 輸入経路:ディーラー車 / 付属品:保証書、記録簿、スペアキー、車載工具、スペアタイヤ、トノーカバー

「理屈抜きに好きなクルマ…」

 クルマ好きであれば、誰しもそんな一台がきっと心の中であるものです。サスペンションの取り付け剛性が…、スカットルシェイクが…、ジャッキアップ気味のコーナリングフォームが…、などとダメ出しを論理的に並べられても、自らステアリングを握ってそれらを実感してもやっぱり好き…。

 私事ながら、そんなクルマの一台がこのXK8コンバーティブルです。率直に言ってとても90年代後半に誕生したとは思えないボディ剛性の低さ、古くさいサスペンションジオメトリー、コーナリング時の腰高感…。クーペボディでもそう感じささせるのに屋根が切り取られてしまえばもう言うに及ばずといったところでしょうか。

 でも、シフトレバー前部のスイッチを押して無音で物静かに上がっていく屋根を開け放ち、感触の心地よい木製のシフトノブをDレンジに送り込み、しっとりと動き出せば、そんな「アバタ」も「えくぼ」に感じられてしまうから不思議で、もしかるすと…いや、多分それはイグニッションを捻らなくともその華麗な曲線美とメヒョウのような躍動感を最大限に魅せるカーニバルレッドのエクステリアデザイン、そして世界最大級と言っても過言ではないダッシュボードに居座るウッドパネルとベージュ/オートミール・ツートンの革で埋め尽くされたインテリアデザインを眺めているだけで、もう「えくぼ」の存在すら忘れてしまっているのかも知れません。

すべてが絶妙

 

 このクルマに乗っていると不思議と色々な方から声を掛けられます。「ジャガーのこの色は日本車では出せないよねぇ~」なんていう

クルマ好きのサラリーマンだったり、「このクルマは何ですか?」なんていう興味津々の若いOLさんだったり、はたまた「あの車カッケェ!」なんていいながら携帯カメラで写メを撮っている塾帰りの小学生等々、性別世代を超えて「美」を感じさせる潜在的な何かを持っているようです。

 こんな現象はとりわけこのカラーリングのみに現れる不思議なマジックで、これがよくあるブリティッシュグリーンであったりクーペボディだとこうはいきません。派手すぎず暗すぎずのちょっと明るめのワインカラーは絶妙としか表現できない塩梅で、XK8特有のE-typeを彷彿とさせる

 曲面が生み出す華麗なハイライト&シャドウを見事に描き出してくれます。また、リア半分にオリジナルデザインを持つコンバーティブルボディは、より長いトランクパネルがフロントタイヤとリアタイヤで2段階の盛り上がりを見せるウエストラインをくっきりと描写し、

ロングノーズ&ロングテール、ショートデッキの古き良きブリティッシュスポーツをコンテンポラリーに表現することに成功しています。

 

 その長いドアを開けると「フワッ」とまるでロウソクに火が灯ったようにやさしく、電球色のイルミネーションが

ウッドパネルとクリームレザーを写し出し、そしてそのウッドパネルに佇む6連メーターが上品なエメラルドグリーンのバックライトによって

浮かび上がり、その温もりのある上質な空間をワインカラーのボディが包み込む…。こんな絵に描いたようなワンシーンはコンバーティブルボディのみに許された贅沢に他なりません。

素晴らしい動力性能

 

 デザインのお話ばかりですが、もちろんメカニズムにも優れた一面を持ち合わせています。

確かに先述したとおりボディやサスペンションなど見劣りする部分はいくつもありますが、その一方で搭載するV8エンジンやトランスミッションなどは現代の目で見ても充分にモダーンで、実はデビュー当時はこの部分が最も注目された部分でもありました。

 その最大の理由がそれまで長きに渡って改良に次ぐ改良で凌いできた直列6気筒とV型12気筒にとって代わられると噂された新開発&ジャガー初のV8エンジンが搭載されたからで、その進化や変革が硬派なジャガーファンにとって興味ある部分でもあり気掛かりな部分でもありました。

 

 その保守派の意見云々はとりあえず置いておいて、最高出力294PS/6,100rpm、最大トルク40.0kgm/4,250rpmを発生する3,996cc V型8気筒 DOHCエンジンは非常にスムースで、多くのV8エンジンに見られるような特有のドロドロとしたビートやバイブレーションとは全回転域で一切無縁で、どちらかというと高音よりの「ヒュィーン」という独特のエンジンサウンドを奏でながら1700kgオーバーの車体を軽々と走らせます。

 ただ単に静粛性やスムースネスを追求した実用性重視のつまらないユニットかといえばそうではなく、右足をグイっと押しこみフルスロットルを

くれてやれば、4000rpmあたりから明らかに音色を変えて「ファ~ン」という均整のとれたハイサウンドを撒き散らしながら6800rpmに設定されたレブリミット目がけて澱みなく一気にパワーが溢れ出し、ジャガースポーツの名に恥じない魅力的な加速を披露してくれます。

 

 また、”5HP24”と呼ばれるZF製の5速ATがまた素晴らしく、今もなおその変速ショックの少なさは充分に評価出来るほどスムースネスに

優れており、その上ゆったりと走ろうとすれば1700rpm程度で次々にシフトアップしてくれるその適確な変速プログラムや5速 100km/hでは2000rpmに届かないほどのハイギヤリングはこのクルマのキャラクターにも日本の道路事情にも実にマッチした好ましいセッティングも持ち合わせております。

 ロングツアラーとしてのXK

 

 そんな優れたATの良い仕事も手伝って、1700kgオーバーの4リッターエンジンとしては非常に優秀な燃費性能も持ち合わせております。市街地や都心の走行に限って言えば6.0~6.5km/l位ですが、高速道路100km/h巡航であれば10km/l以上、80~90km/hでは12km/l近くまで伸びてきます。燃料タンクは75リットルという大容量を確保しており、相当な距離をノンストップで走り切ることが可能で、ロングツアラーとしての息の長さはかなりのものです。

 

 また、ソフトトップを開け放った状態での風の巻き込みや風切り音などが良く抑えられており、少なくとも100km/hまでであればサイドウインドウを立てている限り、殆ど室内に風が巻き込むことはありません。これは如何に乗員を疲れさせずに長距離を走り切るかというロングツアラーとして見逃せないポイントで、実に心地の良いオープンエアトラベリングを実現させてくれます。

 

 その一方で、残念ながら日本では一年の内の殆どをクローズド状態で過ごす事になるわけで、その重要な役割を担うソフトトップの造りもまた秀逸です。きちんとしたインナーを持つしっかりとした造りが、外界との見事なシャットアウトを実現しており、ソフトトップ車にありがちな風の剥離音や隙間音、バタつきなどとは一切無縁です。リアスクリーンも熱線入りのガラス製で、ビニルスクリーンの悩みの種である曇りや破れなどとは一切無縁です。アウディやVWのように接着剤で固定しただけの安物ではなく、しっかりとしたラバーマウントを介して挟み込んでいるので、A4やゴルフのカブリオレの様に剥がれて来て最後は脱落…なんて心配もありません。

 話が少々逸れてしまいましたが、信号待ちの短時間でも素早くコンバートしてくれる優秀なソフトトップが例え雨や雪などのクローズドコンディションであってもクーペとなんら変わらぬ快適な移動空間を実現しております。

コンディション

 

 エクステリアは目立つような凹みや傷などなく綺麗な状態を維持していると思います。さすがに使用に伴うちょっとした線傷やシミ等はございますがペイントにクリア剥げや色褪せなどは一切ありません。ホイールやソフトトップなども目立つダメージなく、一番気になる部分が右ドア淵にある開閉時の当て傷です。

 

 インテリアも年式から想像されるよりずっと綺麗な状態を維持していると思います。流石にドライバーズシートはそれなりに使用感があり、右側のサイドサポートには乗り降りの際の擦れが、座面にはヒビが見られます。助手席やリアシートは目立つようなダメージはありません。ドア内張りやカーペット、フロアマットも綺麗な状態で、当然焦げ穴等もありません。

 劣化しやすいウッドパネルもダッシュボード、シフトパネル、左右ドアパネルなど全て綺麗な状態で、クラックや色ぼけなどとは一切無縁です。ステアリングもウッド部、レザー部含めとても綺麗な状態です。もちろんダメージもあり、センターのエアコン吹き出し口のルーバーの上下がリンク動作しなくなったので、一定間隔で固定してしまっています。

 電装系はエアコンやパワーウインドウ、ワイヤレスキー、パワーシート、ポジションメモリー、シートヒーター、電動ソフトトップなど一切問題ありません。

 唯一残念なのがドア開閉時に上下するパワーウインドウの動作が不安定な点で、本来ドアを開くとウインドウが1cm程度下がり閉めるとまた上がるようになっているのですが、下がったままになってしまう事があります。その場合はスイッチで上げてから閉めてやる必要があります。

 また、ルームミラーの自動防眩が故障しています。このころのジャガーによく見られるマイナートラブルですが、見辛いのでワイドミラーを装着しています。

各部メンテナンス済み

 

 肝心のメカニズムは現在トラブルらしいトラブルなく良好です。

エンジンはもちろん絶好調で、アイドリングは安定しており不快なバイブレーションや異音などありません。吹けあがりも良好で、レブリミットまで綺麗に吹けあがります。パワーのツキも申し分ありません。

 数か月前にATが故障してしまい、O/H後5000km走行のATに換装してもらっていますので、しばらく故障の心配はないはずです。

デフのバックラッシュやベアリング周りの異音、ブレーキの波打ちなども皆無です。

 

 このXKの三大トラブルが、ABS、トラクションコントロール、エンジンチェックの各種警告灯ですが、全て正常です。たまに点灯するような初期症状もありません。

 また、今年の夏前にウォーターポンプ、サーモスタット、サーモスタットハウジングを交換しており、同時に冷却水とエンジンオイルを和光ケミカル製に交換済みです。

 その際に下回りのチェックもしましたが、エンジンやAT周りからのオイル滲みもなく、水周りも漏れや滲みの形跡はありませんでした。室内側のヒーターコアなどからの漏れもなく、冷却水も減りませんので特に気になる様な油脂類のトラブルはありません。

 

 現在気になる部分はショックアブソーバーとロアアームを接続してる部分のブッシュが寿命を迎えていることで、段差などで音が出ています。基本的に走行自体には問題があるわけではないので、そのうち交換してください。

タイヤはもちろん前後共PIRELLI P-Zero Asimmetricoを装着し、まだ7分山は残っています。

 細かな部分ですが、意外と気になるフロントフードダンパー、トランクフードダンパーも抜けなどなく、落ちてくるようなこともありません。

 

 また、現在は完全禁煙車で、ペットも一切同乗していません。自分はタバコは吸いませんが匂いなどが気になったこともありません。今まで完全になかったかどうかは定かではありません。

 修復歴に関しましても購入時に「なし」ということで購入していますが、鑑定などを入れたわけではありません。多分右ドア~右リアフェンダーあたりに板金補修が入っていると思います。

bottom of page